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Posted by さがファンブログ事務局 at 

2011年12月19日

郵便配達は二度ベルをならす(ジェームスケイン)

郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす (ハヤカワ・ミステリ文庫 77-1)

郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす (ハヤカワ・ミステリ文庫 77-1)

著作者:ジェイムズ M.ケイン

出版社:早川書房

価 格:546 円




カミュの「異邦人」の下敷きにもなっているという話を教えていただき、本作を探した。町の本屋さんにはなく、ネットで買うことになった。

主人公のフランクチェンバーズ。「異邦人」のムルソーより少し身近に感じたのだが、「異邦人」を読んでから少し時が経ったからだろうか。カミュへの影響もあるかもしれないと思ったが、アラン シリトーはどうだろうか?と思った。シリトーの「土曜の夜と日曜の朝」などは、結構感じが似ていると思ったのだが。

この作品は映画でも有名なのだが、見たことがなかったので、ぐいぐいと引き込まれるように読み進めた。

女とともに女の夫を殺すという完全犯罪を企みに成功し、二人は上手いこと執行猶予で逃れることができるのだが、彼ら二人が得たものと失ったもの。結末にある突然の悲劇に読むものは一瞬にして悲しみのどん底へ突き落とされる。殺人を犯したものたちの悲劇に対してなぜ悲しんでしまうのか。「異邦人」の「ムルソー」もそうであるが、彼が犯した罪と罰。彼の置かれた環境と立場。彼が得たものと失ったもの。そういうものを一つずつ整理して考えてみる必要があると思わせる作品だった。

それから、映画はどうなんだろうかと思う。

  

Posted by なみログ at 07:42 | 文学(外国)