2011年11月13日
雁の寺 (水上勉)
海外文学はドストエフスキーに、日本文学は水上勉にはまっている。
水上勉氏の代表的作品である、雁の寺、越前竹人形の入った文庫を買い求めて読んだ。
この二作を収録した文庫本は、今後何度となく、間違いなく再読するだろう。それくらいのどちらの作品も名作だ。
とくに「雁の寺」は、全体を通して不必要な部分がなく、文章もしまっていていい。
(谷崎潤一郎氏がエッセイで、越前竹人形の水上勉氏の作品を褒めているが、それでも文章については、どちらかというと平凡でややたどたどしい、と書いているが、雁の寺にしても、越前竹人形にしても、十分ではないかとぼくは思う。)
名作といわれる小説なので、多くの人が批評し、読後感も発表しているので、ぼくなりの感想だけを一つ。
カラマーゾフの兄弟で、一番気になる人物として僕は、スメルジャコフを上げた。
雁の寺の主人公である慈念の、出生のこと、置かれた境遇。なんとなく通じるものを感じた。
椎の木のてっぺんに見た、鳶が作ったほの暗い穴。慈念もスメルジャコフも、同じような、ほの暗い穴を見てしまった人間ではなかったか。
Posted by なみログ at 22:35 | 水上勉
この記事へのコメント
お久しぶりです。元FPのK賀です。お元気でしょうか?
たまたまこのブログを知って、あまりにも今の私とシンクロしてて驚きました。
私も10月末に「カラマーゾフの兄弟」(亀山郁夫氏訳)を読破し、今は水上勉氏に嵌っています。
「飢餓海峡」は私も読みましたし、映画も見ました。仰る通り、原作者が伝えたい部分が表現不足で消化不良という感が否めませんね。
水上氏の作品は「櫻守」や「土を喰う日々」も良いですよ。
これからたまにブログを拝見させていただきます!
Posted by ガッチ at 2011年11月14日 18:56
おはようございます コメント有難うございます! 元気ですか? いまは東京にいるのですが、佐賀で文系クリエイターの勉強会も始めたいとおもっています。ほんファンもぜひ登録してください! 読書ファンの輪を拡げて行きましょう
Posted by なみログ at 2011年11月15日 08:22