2012年01月30日
映画砂の器(野村芳太郎監督、松本清張原作)

映画砂の器を観た。
ずいぶん前にテレビ放送で観たような観ていないような記憶だったので、改めて見直した。
原作より良いと感じる映画は、よく言われるようにほとんど無いけれど、砂の器は原作以上に映画が良いと感じた。
まず、原作のさまざまな登場人物を絞り込んで、父と子、今西刑事と同僚の刑事の4人に絞り込んでいるところ。(あとは女性二人が目立つくらい)
それにともない思い切って、筋を変えているところ。
それから、一番の素晴らしい演出は、宿命の音楽に乗せて、父と子の放浪の物語部分を映像化して見せたこと。
とまあ、よく言われる感想が挙げられる。
筋以外でも、映像美が素晴らしく、日本の四季を各地で撮って映像化している。地方の駅や野山、川、岸壁、村、など日本の自然風景が撮られている。
これは、映画が公開されてから四十年近く経った現代においては、ますます、貴重な映像になったのではないだろうか。
水上勉氏の『飢餓海峡』は小説は砂の器より面白いと思うが、映画がつまらなく思えたのは、原作にほぼ沿った形で物語が流れたからかもしれない。飢餓海峡ももっと絞り込んで描いていればと思わせる。どうだろうか。もちろんそれで十分取捨選択されていての結果だと思うし、恐山の捉え方などは映画の演出なのだが。
Posted by なみログ at 09:32 | 映画
この記事へのコメント
こんにちは。竹田です。
「砂の器」の映画は実は私が生を受けて初めて観た映画です!
30年前に近所の映画館でやっていたリバイバル上映に母がどうしても行きたいと言い出し、小学生低学年の私も連れて行きました。
当時の私には全く内容がわからずちんぷんかんぷんでしたが、あの「宿命」の曲が印象的で、隣で泣きながら見ていた母親の姿と共に思い出として焼きついてます。
その後、高校生になってから原作を読み、映画を改めて観直し感動し、小遣いを貯めてサントラまで買ってしまうぐらいハマッてしまいました。自分のミステリ好きの原点はこの映画にあると言っても過言ではありません(笑)
Posted by 家具屋 竹田 at 2012年01月30日 12:25
竹田さん。コメント有難うございます。
素晴らしい思い出ですね。
お母さんはおそらく泣きっぱなしでしょうね。
<砂の器>という一つの作品が、文字面だけでなく音楽、映像、観たシチュエーションなど、人の記憶に残り、生き方につながり、そして誰かにつなげていく、という、まさに芸術が作用するおよそすべてのことが達成されたような作品ですね。
商業的に成功することだけしか達成目標が無いと思える映画もある中、砂の器は崇高な作品ですね。
Posted by なみログ at 2012年01月30日 16:22