2012年01月17日
レディ・ジョーカー(高村薫)
レディ・ジョーカー。
タイトルがいい。脅迫事件を起こす一味たちの名前だ。物語の中に、レディジョーカーに命名するモチーフがあり、読んでいる側もすごく納得することができた。
脅迫される側の日之出ビールの城山社長や刑事の合田には、なぜレディジョーカーなのかまったくわからなかっただろう。事情の分からないものには全く分からない、名前だ。しかし、命名に加わった仲間たちにとって、レディジョーカーという名前は、あとから考えてもこれしかなかったのではないかと思えるほど、かれらの立場をよく物語ってはいないだろうか。
レディジョーカーたちのやった犯罪や彼らの姿や行動が、凶悪なものとは無縁と感じるばかりか、物井の正体がいつばれないかハラハラしたり、合田からつけ狙われる半田に、肩入れしたりする気持ちが湧くのはなぜであろうか。
とくに半田。あんたが抱えているものがなんだったのか、それはたいそう重いものだったのか、それとも、実のところはそうでもなかったのか。
Posted by なみログ at 11:31 | 高村薫