2012年01月12日

照柿(高村薫)

照柿(上) (講談社文庫)

照柿(上) (講談社文庫)

著作者:高村 薫

出版社:講談社

価 格:680 円



さて、照柿。

ミステリと予断をもって読む始めると、ちょっと頭が混乱するかもしれない。
広義のミステリという範囲の、<広義>の部分に属する作品なのだろう、と個人的には思うことにした。

合田という刑事と、野田達夫という幼馴染の男と、二人の間に存在する女の話が全てであり、その話の合間に事件の話があるというバランスか。

タイトルの照柿。
合間合間に、なんどもその色について描写があったり、説明があったりするが、なんかしっくりと照柿というタイトルにもしたモチーフの大きさが伝わってこない。
作品のなかにあり、照柿の占める大事さというのが伝わらなかった。

※先に照柿色ありきなのかもしれないなあと思ったりした。


青い鴉。

というタイトルではダメだったのか?
達夫の人生において青い鴉の挿話は、インパクトがあるし、合田と彼の関係のすべては青い鴉の事件が、かれの所業の数々の動機の根源ではなかったか。

照柿の合田刑事は、この後所轄に転属願いを出し、レディ・ジョーカーで再び作品に戻ってきたが、照柿を読めば、レディ・ジョーカーで徐々に狂い始める彼のことが判らないではないが、マークスの山の合田刑事と、照柿の合田刑事は、あまりにも違う人物に変わってしまっているようで、その間をつなぐエピソードがないものだろうか。短編小説とかで書かれているのかな。


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Posted by なみログ at 19:19 | 高村薫
この記事へのコメント

なみログさん、こんばんは。

>青い鴉

青い色のエピソードでは、達夫の父の描いた絵もありましたから、それで事足りたかと思っています。
青い三角の形が、達夫の父・達夫・合田を繋ぐという感じで。

>その間をつなぐエピソード

実はあります。
雑誌掲載で5本書かれましたが、書籍にはなっていません。
噂では高村さんがフロッピーディスクを捨てたらしい、とか (当時はワープロ全盛期でしたから)

だから初期のファンの方に内緒でコピーを回してもらったり、大きな図書館でコピーしてもらったりして、入手してるのです。
私も回してもらったクチです。

「警視庁捜査第一課第三強行犯捜査第七係」というシリーズ名で、 1993年の「小説現代」で掲載されました。

興味がありましたら、ぜひ。
Posted by あきのみや at 2012年01月15日 22:34

あきのみや様

いつもコメントありがとうございます!

合田刑事がわかる短編があるんですねえ!
Posted by なみログ at 2012年01月16日 12:06