2011年10月03日
文学入門(桑原武夫)
かぞえると7年間も行っていて、合計50回以上になります。
なぜ文学読書会を開催していたのか?
いろいろと説明することはできますが長くなるので 読書会を開催してみようと思った一冊の本を紹介します。
桑原武夫氏の『文学入門』です。
1950年1月に書かれた本書には、『なぜ文学は人生に必要か』という問いにたいする解説があり アンナカレーニナの読書会を実際に行った模様を載せるなど、文学を読書することが有用なことについての、多くの示唆を与えてくれています。
2011年10月03日
白夜行(東野圭吾)

〜2007年のノートから〜
東野圭吾。
東野圭吾は面白い。
白夜行は最初読んだときに、ストーリー展開、行間に暗く潜む主人公二人の心理状態に、圧倒され、読み終わったときは少し放心状態のようになったものだった。
とうことで、冷静に二度目に挑戦。数時間で無事読了。
主人公である桐原亮司と唐沢雪穂。とくに雪穂の人物設定には関心する。二度目でとくに、雪穂の底知れない恐ろしさを知った。
亮司は、雪穂を守るために暗躍するが、最後は死ぬ。結果的に雪穂に操られただけではないか、といえないこともない。
ではなぜ?亮司ほどの頭脳明晰な男が、雪穂に操られているということに疑問を持たないはずはない。ということは、操られていないか、操られていても仕方の無い関係だったのか。
操られても仕方の無い関係だったとすると深読みになるので、やめるが、
亮司の心の闇は、雪穂以上のものがあるとさえ感じる。
![]() | 白夜行 (集英社文庫)著作者:東野 圭吾 出版社:集英社 価 格:1,050 円 |
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2011年10月03日
砂の器(松本清張)
松本清張の『砂の器』上下巻を読了した。
映画を改めて見直してから、本編の感想は書きたいが、まずは小説の感想から。
ゼロの焦点を読んだあとに読んだ比較では、筋立ておよび文章、ともに砂の器が勝っていると思う。
砂の器というタイトルはものすごく文学的、芸術的であると感じるが、小説自体はあくまで推理小説であり、松本清張の試みも、それ以上のものはなかったのではないだろうか。
もちろん砂の器というタイトルが暗示するごとく、殺人を犯した犯人は、自らの名声、地位が砂で作った器のごとく、もろくも崩れ去るのだが、果たしてかれの人生は、他人が砂の器だと軽んじて非難してしまっていいようなものだったのかどうか。情状の余地があると、最後の説明の文章に何度かでてくるが、おそらく読む人にとって多少の印象の違いはあるにせよ、極悪犯には写らないのではないか。和賀という人物の様子は、小説の中では関川というもうひとりの容疑者よりも、人物像が薄くしか描かれておらず、和賀という人物の本当の、真実の言葉はどこにも書かれていない。果たして和賀という男はどのような人物だったのか、読む側に幾通りもの想像の余地を残した人物像である。
![]() | 砂の器〈上〉 (新潮文庫)著作者:松本 清張 出版社:新潮社 価 格:660 円 |