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Posted by さがファンブログ事務局 at 

2011年10月17日

ドストエフスキイの生活 (小林秀雄)


カラマーゾフの上巻を読み終えた。

悪霊とくらべると、読みやすいし、物語となるモチーフも興味深い。
ストーリーテーラーであるばかりか、やはり一級のジャーナリストだなと、思う。
社会背景と生活の変化、人心の変化を適切に捉え、明らかにし、分析する。

とまあカラマーゾフの印象はまたにして、


小林秀雄氏のこの本は買ったのではなく、戴いたものである。

かれこれ十年近くなるだろうか。


ようやく頁をめくるときがきたようだ。

いまさらながらという声は、ごもっともなことである。



  

Posted by なみログ at 23:39 | 評論

2011年10月17日

赤目四十八瀧心中未遂 (車谷長吉)






この二、三年で一番面白かった本が、赤目四十八瀧心中未遂だ。



かなり面白い。



東京の広告代理店の第一線で活躍していた私が、仕事を辞め、身を隠すように関西の尼崎のある路地に逃げ込み、そこでひっそりと暮らす日々を描いた小説。



ひっそりと、とは書いたが、小説でも書かれているが、私には帰るところがあり、その路地にとって、私はいわば傍観者である。

そして、私は意図をしてその路地にひっそりと住むことを決意しているが、その路地に住むほかの人々は毎日の生活に観念的な解釈はもちろんない。目の前の一日一日をまっくろになって生きるだけだ。



そんな傍観者である私にとって、その路地はときに手厳しくあたる。

子供もそうだ。



解説にも書いてあるとおり、路地の子供の立場。秀逸だ。本当によく書けている。



そして、最後の章。



アマ(尼崎)を離れてから4年が過ぎ、大阪への出張の折に、路地を再訪するのだが、そこにはもう知り合いのおばさんの店はなく駐車場と化し、身を隠すように住んでいたアパートの二階にはだれも住んでおらず、私が住んでいた部屋には南京錠が掛っている。





この章はあらためて読んでも、つらいなあ。

いつかきた青春の終わりを見せられているようで。(苦笑)



読んでいない人はぜひ。



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Posted by なみログ at 18:39 | 車谷長吉

2011年10月17日

辺境からのろしを上げる

〜facebookのノートに書きとめておいた雑文より〜


長崎は小説家を多く輩出している県で、有名どころでは、村上龍を筆頭に、佐藤正午、 青来有一、吉田修一、古いところでは、野呂邦暢、林京子、佐多稲子らが出ている。



作品の舞台が長崎となると、それは数え切れないくらいあって、遠藤周作の「沈黙」も、そのなかで頭に思い浮かべることのできる有名な作品だろう。



先日、佐藤正午氏の「リボルバー」という文庫小説が、新しい装丁で書店に並んでいるのをみた。



たしかこの小説は、沢田研二が出て映画化されたものだったと思う。



なんかなつかしいな。と思ったりした。



話は、元にもどるが、東京から遠く離れた北海道や沖縄の現状がどのような状況になっているかを考えると、この国がどうなっているのかよく判るということをいっているのを聞いたことがある。
辺境の地にこそ<国の現実>が<むき出しに現れている>ということなのか。




長崎もしかり、佐賀もしかり。



インターネットの世界だって、そうかもしれないな、と思う。

インターネットの世界が<地方の時代の到来>などといっていた幻想が消えてから久しい。


佐賀からどう仕掛けていくか。



以前、自らのことを「昭和岸壁派」といい、<辺境>から人間生活を考える小説家もいた。

本来であれば、今のような時代こそ、日本の端っこから、ケータイ小説でもなんでもいいので、<のろしを上げていかないとならないのだ>と思ったりするのだが。



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Posted by なみログ at 18:32